【改訂版】異世界でわたしは恋をする

お城も広ければ、外の敷地もとにかく広い。


お城の正面の真ん中には大きな噴水があり、その周りには綺麗な花壇が噴水を囲むようにあって、城の入り口まで続く舗装された道路以外は、手入れされた芝生が青々と生えている。


裸足で歩いたら気持ちよさそうだ。


この世界ではずっと日本のでいう春のような過ごし易い気候で、たまに雨が降るそうだ。
だから年中なにかしらの花が咲いている。


チューリップやすみれに似たような花や、あちらの世界では見たこともないような大きな花びらをつけた花。


風がふわりと吹くと、花の香りなのか甘い香りが辺り漂っている。


正面の庭を案内された後、お城の裏側へと回った。

そこには一面に色々な色を付けた、ハナミズキのような花が一面に広がっていた。


「すごい・・・綺麗・・・」

「これはこの国の象徴の花。メルンというんだ」


私の膝位の高さで咲く花は、風でいっせいに揺れた。

まるで鐘が揺れているようで、あまりの美しさに見とれてしまった。



「この辺りでユーリは倒れていたんだ」


ウィルはある場所で立ち止まって、そう言った。

そこは一部分だけメルンの花が倒れていて、花がいびつな形で潰れている。


「私の重さで倒しちゃったのね。・・・かわいそうに。ごめんね」


ここで私は倒れていた。

つまり、私のこの世界での始まりの場所ということ。


私はなぜこの世界に来たのだろう。

この世界に呼ばれたのには、何か意味があるんだろうか?