「もうお目覚めになられたのですね、ユーリ様」

起きてから少したった後に、イザベラは部屋へとやってきた。

この世界に時計はなく、日の出入りで大体の生活を決めているようだ。


自分の世界では毎日6時に起きて、お弁当作って会社行く準備して、って身の回りのことは全て自分でやってきたから、誰かにやってもらう生活がとても新鮮で、でもなんか申し訳なく思ってしまう。


「おはようございます。イザベラさん。どうも自分の生活パターンが抜けなくて、日が昇るあたりに起きちゃうんです」

「イザベラでいいと何回も仰いましたのに、堅苦しい言葉も要りませんわ。お腹が空きましたでしょう?お食事の準備をいたしますわね。その間にお着替え下さいませ」

「あ、ありがとう」

イザベラは着替えのドレスを私に渡すと、部屋を出て行った。


用意されたドレスを着る。

そのドレスは淡いピンクのシンプルなもの。
いい年をした私には着る事がない色だ。

ぎっちりとお腹を固定するようなドレスではないから、着心地はそんなに悪くはないけれど。


「あと10歳若かったらねえ・・・喜ぶんだけど」

毎日渡されるドレスが、どうも若い子が好むようなパステル色が多い。


・・・ウィル達は私を一体いくつだと思っているんだろう。

こんなかわいいドレスが似合うような年でもないんだけど・・・。


確かに私はイザベラさんに比べて背は低いから、子供っぽく見えてしまうのは仕方がないとしても、顔のふけ方は歳相応だと思うんだけどなあ。


だけど、他に着るものがない。

仕方なくそのドレスを着て、鏡の前に立つ。


やっぱり何回見ても自分にはこの色は似合わない。

形は悪くないドレスなのに、色が残念。

もう少し落ち着いた色ならいいのに・・・。