「それまで、この世界を少しでも知った方がいいかもしれないな。ユーリには私の待女のイザベラをつけよう。色々と教えてもらうといい。彼女は優秀だ。身の回りのことも、何かあればイザベラに言えばやってくれる。服も・・・だな、ここの世界では女性はそういった服は着ない。この世界での服を着たほうがいい」

と、私の服に目をやる。

私がウィルの服を不思議なものと見るように、ウィルも私のラフな格好が見慣れないものなのだろう。


この国では普段はドレスなんだろうか。

スカートなんて会社の制服でしか着ないから・・・。

足を開かないように気を付けなければ。


「わかったわ。あ、ありがとう・・・えと」

確かイザベラは皇太子殿下と言っていたはず。

私も同じように呼んだ方がいいのだろう。


「ありがとうございます。お、皇太子殿下」

言いなれない名称に少し噛みながらも、ウィルに頭を下げて言った。

だけど、そう呼んだ瞬間にウィルの表情が少し曇る。

「ウィル、でいい」

「でも、この国の王子様なんでしょう?気軽に呼ぶわけにはいかないんじゃ」

「あまり堅苦しい名称で呼ばれるのは好かない。ユーリにはウィルと呼んでもらいたい」

「・・・は、はあ」


軽々しく名前で呼んでいいんだろうか?


と思うのだけど、これで機嫌を損ねて見捨てられたり、牢にでも入れられたら困る。

そう思い、私は素直にその言葉に従うことにした。