虚無たちの葬失












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虚無、とはなんなのだろう。幼い時から知りたくて仕方がなかった。



どこか暗い雰囲気を漂わせながらも、どこか神秘的な要素を含むもの。私は虚無が好きだったし、だからこそ人生は無意味だと知っていても死にたいとは思わなかった。



でもある日、心に不思議な感情が湧いた。空っぽにしていたのに、不意に生まれたそれは、日を追うごとに強くなっていった。



その感情は、多分、恋。ドラマや漫画で読んだことはあるけど、こんなにも苦しくて楽しいものだとは思っていなかった。



相手は、割合仲がいい人。特徴を挙げるなら、ニヒリストで、一人称が俺。ブラックコーヒーが好きらしいけど、私は苦くて飲めない。



放課後に顔を見るだけで心が弾んだし、生まれて初めて感情というものに意味を見出した。私の心はこの人のためにあったんだ、と。



でもある日、誰もいないあの部屋で、その人は私に訊いてきた。



『誰かを好きになること。それ自体に、いったいどんな意味があると思う』って。



彼は、自分には好きな人がいる、と言った。



わからなかった。一晩中悩んでも答えが見つからなくて、朝になってもわからなかった。そうしたら彼の問いかけに答えられない自分が、すごく嫌いになって、悲しくて、虚しくなった。



単なる生殖行為のための下心。そんなものに、たいそうな意味なんかないと思った。



私の恋は、無意味。



これが、虚無だということを、知らなかった。私はけして、ニヒリストなんかじゃなかった。



私は何がしたかったんだろう。息ができなくなるような虚しさを知ってしまったら、もう、生きたいと思うことはなくなってしまった。



どうか私の自殺に、彼が気づきませんように。
私は空虚な人間だということを、知られたくはないから。





――私だけの遺書   凪紗
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