「そんなに濃いかな?」



おふくろは、うーんと少し考えた後、ポンとオレの肩を叩いた。



「叶太、あなた、一度、沙代さんに頼んで、陽菜ちゃんの食事を食べさせてもらって来なさいな」

「え? ハルの食事?」

「そう」

「けど、遊びに行ったら、同じものを食べてるし、出かけたら外食だって普通にしてるし」

「そうよね。けど、きっと違うと思うわよ」

「……違うかなぁ? でも、まあ……おふくろがそう言うなら」



とは言え、ただでさえ外出の少ないハル。
一体、いつ行けば、ハルに内緒で食べさせてもらえる?

表情から、オレが何を考えているのかを読み取り、おふくろが笑いながら言った。



「遊びに行った時、先に、今日は陽菜ちゃんと同じ味付けで出してくださいって頼めば良いじゃない」

「あ、そっか」



そりゃそうだ。
ハルと一緒に食べる時に、同じ物を出してもらえば良い。

てか、今までだって同じ物を食べてたんだけど……。



おふくろは、もう一度、味噌汁の味を確認した。


「うちなら、これで良いんだけどね。美味しいわよ、とっても」



そう言うと、おふくろはオレの前に、ドンとほうれん草の束を置いた。



「さ、味付けの話は置いておいて、付け合わせの方に行きましょうか」



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