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結局そのあと流星くんと寄り道しながら帰って。
「じゃああたしここ曲がってすぐだから!またね、流星くん」
「おー。」
そう言ってUターンして帰っていく背中を見送った後、誰もいなくなった路地に呼びかける。
「…いつまで隠れてるつもり?バレてないとでも思ってるの?」
「やっぱり桃華さん、気配読むの上手いですね。」
そう言いながらゆっくりと現れた影に向かって告げる。
「こんなとこで待ち伏せとか悪趣味〜!なんか用?」
「まぁ用といえば用だったんですけど。もう終わりました。
僕自身としても、あなた方のことは気になっていたので」
「ふーん……」
ってことは、流星くんに終業の時間とか教えたのは湖城くんだった、ってわけね。
湖城くんにお節介焼かれるのは嫌いってわかってたから名前を伏せたってところかな?
ほんと…どこまでも優しい人。
「あたしね、多分湖城くんも気づいてたと思うけど、
あなたのこと大ッッ嫌いだったの。」
「…………」
「だってあたしの唯一の大親友を横から奪っていったかと思えば振り回して、本気で意味わかんなかったし、イライラした」
「…………」
湖城くんは無言を貫き通したまま、口を開く素振りすら見せない。
「…でも、
なんで美咲があなたのこと好きになったのか、今ならちょっと、わからなくもないわ」
「…!
ーーそうですか」
そうですか、って……。他にもっとこう、あるでしょ…。
「…それが聞けたので、僕としては満足です。では、失礼します♡」
心底幸せそうな笑みを見せた湖城くんは、そのまま軽い足取りで帰っていった。
…語尾にハートついてたんだけど……。
湖城くんって…
「っ、あはっ」
自然と笑みが漏れる。
心がすっきりしてる。
流石にもう、独占欲だけじゃないし、あたしにだって大切な人が出来た。
「やっと、前に進めるって感じかな」
角を曲がって、家の扉に手をかける。
空に光る星が一筋、地平線へ流れた。
~fin.



