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その後のふたり飲み会で、南ちゃんは烈火のごとく怒った。

「殺す!前田は殺す!」

「まあまあ、南ちゃん」

「前田はどう見てもただの変態だよね!?同じキスでも篠宮さんとはわけが違う!」

こ、声がでかい!

私はキスという単語がやたらと気になり、久し振りに来た焼鳥屋『げんどり』の中を見回した。

そんな私にまるで気付かず怒り続ける南ちゃんは、さっき頼んだばかりのビールジョッキを空にして吐き捨てるように言った。

「突然のキスっつーのはだなぁ、イケメンがやって許される事であって、ただの気持ち悪いオッサンがやっていいことじゃないわよ!たっちゃん、お代わり!」

バイトの達也くんが手を上げたのを確認してから私は南ちゃんの手にトントンと触れた。

「……南ちゃん、前田さんは多分篠宮さんと同い年……」

「同い年でも顔の造作がまるで違うじゃないの!あと、内面の規模もな!」

「もういいんだ。思い出すのも嫌だし、社長が厳重注意してくれたみたいだし」

「多分、アイツは第二工場行き決定だね。第二工場は男ばっかで発情しても無駄だしな!それに測定者入れたいって工場長が言ってたし。本社には海江田さんがいるから平気だし。あの人マルチだから」