気を入れていた。


 このヤマのホシはきっとまた、俺たち警察の前に現れるだろう。
  

 そう思っていた。


 殺人犯は一度逃亡していても、必ず帰巣する。


 所詮そんなものなのだ。


 そう感じていた。


 伊里町はどう思っているのか、知らないのだが……。


 タクシーは走り続ける。


 何かと危ない歳末の道路を。