「悪い。そこまで驚くと思ってなかった」
「そうだな。ごめんな、川野」
「八重ちゃん、本当にごめん」
明日美まで涙目になっている。
それはいいんだけど、さっきっから訳が分からなすぎる。
詳細なる説明を要求したい。
視線で訴えると、三笠くんが笑顔で「じゃあそろそろ種明かしをしよう」と言った。
国島さんが耳元で「怒るなよ」と言ったので、嫌な予感がしてその手を振り払った。
「ことによっては怒りますよ!」
私の怒りに、国島さんが珍しく困り顔になる。
慌てて三笠くんがフォローに入った。
「落ち着いて、川野。この計画を練ったのは俺。国島さんに知らせたのも三日前だし、明日美もついさっきまで知らなかった。だからふたりを責めるのは筋違い。そこまではいい?」
私は頷いて、続きを促す。
「明日美には、舞台途中から抜けてくるように最初から言っておいたの。嫌味なこと言って川野をつついたのは、うちの劇団の新人の伊理紗ちゃん。うまかっただろ? 演技。俺はね、川野のあの言葉を明日美に聞かせたかったんだよ」
三笠くんが衣装の袖口をめくる。驚くことに小型カメラが仕掛けられていた。
もしかしてこれが、モニターに映ってる映像?
じゃあ明日美は、ここからさっきの私の啖呵を見てたってこと?



