「ねぇ、国島さん、明日美はどこなんですか?」
問いかけとともに肩を抱かれる力が強くなり、国島さんは困ったように目をそらす。
何その反応?
明日美に何かあったの?
でも三笠くんは笑ってるけど。
不安が最高潮になったとき、控室前にたどり着いた。
「入って」
三笠くんが扉を開ける。そこにはきょとんとした様子の明日美がいた。目の前にはモニターがあり、今はなぜか私の見えている視界と同じものが映っている。
「あ、明日美っ」
とりあえず無事なことにほっとして、私は国島さんを振り払い明日美に抱き着いた。
「八重ちゃん」
「心配したんだから。なんで勝手に消えるのよー」
「ごめんね、八重ちゃん」
「何なのよ。みんなして私を騙してたの?」
噛みつくように言ったら、国島さんが手を伸ばした。目元を指がすっと移動する。
「泣くな」
「泣いてなんか」
と思ったけど、私の頬が濡れている。テンパり過ぎて泣いてることすらわからずにいたらしい。
「あれ、あれれ」
止まらない。
だって泣いてる実感ないんだもん。止めようにも止められない。
ただボロボロと滴が目からこぼれていく。
国島さんは、明日美から私を引きはがし、人前であることも気にせず私の頭を抱き寄せ撫でた。
頭から首にかけてを何度も上下する大きな手。
そのリズムに、少しずつ気持ちが落ち着いてくる。
ゆっくり深呼吸したら、国島さんの指が頬をぬぐってくれた。



