プロポーズはサプライズで


そのファン心理は、正直理解できないこともなくて、私は一瞬うつむいた。

でもさ、違うんだよ。
舞台の上の彼は、私たちファンのために存在してる。

だけど私は、一個人としての彼も知っている。ずっと友達で、大好きで。そんな彼が選んだのが、私も大好きな明日美だったことが悲しいけど嬉しくて。

自分が選ばれなくても、明日美ならいいって思えた。
私を大事に思ってくれる明日美だったから、私もふたりのこと応援しようって思えたの。


「舞台の上の彼は、私たちのヒーローだよ。でも、舞台を下りたら三笠くんは一人の人間だよ。幸せでいてほしいし、その方が彼だって輝ける」


そうよ。私はもう知ってる。
自分が好きだと思う人に好かれたとき、嘘みたいに自分が好きになれた。
仕事も恋愛も向いてない、自分には関係ないって思っていた私を、こんなふうに変えてくれた人がいる。


「それには明日美が必要なんだから。明日美を返してよ。私は三笠くんと明日美が二人でいるところが好きなの。早く連れて行きなさいよっ」

「きゃっ」


彼女の襟元につかみかかってそう言ったら、あり得ないところからあり得ない音が聞こえてきた。

彼女がやってきた方向、楽屋へと続く立ち入り禁止区域に、なぜか国島さんと三笠くんがそろって立っていた。
しかも、三笠くんが、お腹を抱えて笑って……笑ってる? なんで?