プロポーズはサプライズで


拍手のし過ぎで手が痛い。感極まって涙腺は決壊寸前だ。

良かったー。
途中どうなることかと思ったけど、無事テツヤが戻ってきてよかったよー。

普段はコメディ多めの劇団だから、まさか全編シリアスだと思わなくてびっくりしたよ。


「八重」


国島さんに小突かれて、私は我に返る。

舞台には三笠くんをはじめとする劇団員たちが衣装のままでてきて、揃って頭を下げた。
拍手が一段と強くなる。
これから個別に役者紹介があり、その後幕が下ろされる。

そうだそうだ、このタイミングで花束を……

と思ったとことで、隣に明日美がいないことに気づいた。


「……え?」


どうして? いつから?

途中から舞台に夢中になっていて、全然気づかなかった。
明日美が途中で席を立つなんてこと、今まで一度だってなかったのに。

慌てて周りを見る。
三十名ほどの観客は、立ち上がって拍手をしている。その中に明日美の姿はない。
……っていうか、最初に嫌味な視線を投げかけてきた女の子もいないじゃないの。

まさか思うけど、何かされた?
でも嫌がらせされるほどのことは、私たちしてないよね。


「国島さん、私、明日美を探してきます」

「はぁ?」

「いなくなったの。何かあったら大変だから」

「おい!」


拍手が鳴り響く中、私は小声で謝りながら席を抜け出した。