その後は、もう描く気分じゃないと言われ、高木先輩と追い出されるように美術室を出てきた。
階段を後ろから降りようとしていたら、
「今日はおまえが先を歩け。あの遊歩道に入るまで他人のフリしてろ」
一段降りていても、まだ私よりも顔の位置が高い先輩がそう言った。
やっぱり先輩は私が彼女だと知られたくないんだ。
ちょっと悲しくなったけど、
「はい」
笑顔で返事をした。
昇降口の外には先輩の自転車はなくて、先輩は自転車置き場に取りに行くみたいだから、私はそのまま一人で遊歩道に向かった。
途中の角を曲がる時に後ろを振り返ると、かなり後ろの方に先輩が自転車を押しながら歩いている姿を見つけた。
顔がニヤけてしまう。
この後、久しぶりに先輩と二人きりだと思うと、嬉しくて、落ち着かなくて、胸に抱えた鞄をギュウっと握ってその後ろに顔を隠した。
遊歩道に入りベンチに座って待っていると、高木先輩が自転車を押して曲がってきた。
その左頬が上がって、切れ長の目が細められると私の心臓がキュンと鳴った。
二人で並んで遊歩道を歩く。
「先輩、さっき嬉しそうでしたね。美術室で……」
「そうか?そうかもな。あいつと普通に喋ったの久しぶりだからな」
高木先輩がさっきのことを思い出すように、下を向いて笑っている。
「同じクラスなのにですか?」
「あ?あぁ、まぁ、いろいろあったんだよ」
いろいろってところが気にはなるけど、あんまり聞いてはいけないような雰囲気。
それよりも、話したいことはたくさんあった。
階段を後ろから降りようとしていたら、
「今日はおまえが先を歩け。あの遊歩道に入るまで他人のフリしてろ」
一段降りていても、まだ私よりも顔の位置が高い先輩がそう言った。
やっぱり先輩は私が彼女だと知られたくないんだ。
ちょっと悲しくなったけど、
「はい」
笑顔で返事をした。
昇降口の外には先輩の自転車はなくて、先輩は自転車置き場に取りに行くみたいだから、私はそのまま一人で遊歩道に向かった。
途中の角を曲がる時に後ろを振り返ると、かなり後ろの方に先輩が自転車を押しながら歩いている姿を見つけた。
顔がニヤけてしまう。
この後、久しぶりに先輩と二人きりだと思うと、嬉しくて、落ち着かなくて、胸に抱えた鞄をギュウっと握ってその後ろに顔を隠した。
遊歩道に入りベンチに座って待っていると、高木先輩が自転車を押して曲がってきた。
その左頬が上がって、切れ長の目が細められると私の心臓がキュンと鳴った。
二人で並んで遊歩道を歩く。
「先輩、さっき嬉しそうでしたね。美術室で……」
「そうか?そうかもな。あいつと普通に喋ったの久しぶりだからな」
高木先輩がさっきのことを思い出すように、下を向いて笑っている。
「同じクラスなのにですか?」
「あ?あぁ、まぁ、いろいろあったんだよ」
いろいろってところが気にはなるけど、あんまり聞いてはいけないような雰囲気。
それよりも、話したいことはたくさんあった。

