インターハイはもう目の前だった。

午後の相手は格下の高校らしかったけど、昨日強豪校に勝ったらしくて油断は禁物らしい。
私たちはインターハイ開催地に応援行くかどうかって話までしてた。

だけどスタメンに高木先輩がいない。
どうやら2年生主体のチームが出てるらしい。

OB軍団が憤慨して、
「何やってんだよ、あの監督!」
「高木を出せ!」
「練習試合じゃねぇんだよ!」
大声で叫んでいる。

それでも、立ち上がりは2年の先輩たちも奮闘していた。
でも、少しづつ少しづつ点差が開いていく。

何が悪いと言う訳ではない。
ただ相手に押されているという感じだった。

ようやく選手交代の場所に高木先輩たちが現れたけど、すぐには交代できないようで、
その間にも相手チームに点数が入り続ける。

第一ピリオド終了を待たずに交代したにも関わらず、その後の流れも相手チームが持っていた。

苦戦……先輩たちの表情が更に険しいものになっていく。

自ずとファウルも増え、相手チームにフリースローのチャンスを与えてしまう。
相手チームはそのチャンスは必ずものにしている。

私たちは、もう祈るしかなかった。

最後の第4ピリオドが始まり、その時点で、点差は10点も開いている。

応援席では泣いてる人もいた。

でも、高木先輩が一瞬だけ、ほんの微かに左頬で笑った。

誰も気が付かなかったかもしれないけど、私だけはその楽しそうな顔に気付いた。

先輩……

これまでの流れを変えるように、そこからはうちの高校が責めていた。

これまで高木先輩に集まっていたボールが、菊池雅人にパスされたり、
何より高木先輩のフェイントが決まりまくっている。

先輩、楽しそう。

全員がシュートを決めていた。
リバウンドもよく取れていた。
あっという間に点差はなくなり、一進一退の攻防戦にまで追い上げた。

胸が高鳴る。
あと1点でも多く……

怒涛のラストに、試合終了の笛が鳴る。

得点は……同点。

会場中がうるさいくらいの悲鳴の嵐。
たぶん私も叫んでた。

これから延長戦が始まるらしい。
これに勝てばインターハイ。

そしてそれは相手チームも同じ