コクリバ 【完】

メールアドレスは、付き合ってた頃に考え付いたらしい。

何度も変えよう思ったけど、裏の意味は誰にも分らないだろうし、変えることが未練があるようで、そのまま放置してたと教えてくれた。


会話が途切れたところで、私は立ち上がって、机の引き出しを開けた。

「覚えてますか?私、まだ持ってました」

取り出したのはシルバーのハートのストラップ。

少し変色したそれを持ってテーブルに戻ると、高木先輩も立ち上がりジーンズのポケットから財布を取り出した。

不思議に思って見ていると、財布の中から出てきたのは見覚えのあるシルバーのクロス。

ストラップ部分のお揃いだった紐はなくなっていたけど、それは確かにあの時一緒に買った物。

テーブルの上に二つのシルバーが並んだ。


「セイヤ…」

立ち上がり彼の横に行くと、彼の首に腕を巻き付けた。

「奈々…」

腰を持たれて、膝の上に座らされ、そのまま唇が重なる。