コクリバ 【完】

そこからはあっという間に私のアパートにたどり着き、坂道を上り、駐車場を横切り、この前止めていた端の方へと移動していった。

その頃になるとバイクの後ろにも慣れて、もう少し乗っていたい気も、少しだけした。

「バイク。本当に好きだよね」
「これしか金使うことねーからな」
「メアドにもしてるくらいだしね」
「は?」
「407のナンバー。メアドに入ってた」
「これ買ったのは最近だぞ。アドレスは一度も変えたことがない」
「じゃ……」
「高校時代からあのアドレス」
「へー。そうなんだ」
「俺の背番号だろ」
「え?」
「俺の背番号、覚えてないのか?」
「“4”でしょ。覚えてるよ」
「ならいい」

高木誠也が先にアパートの階段に向かって歩き出す。

「じゃ、“07”も意味があるの?」

その後ろをついて行く。

一度振り返った高木誠也が私をじっと見ているから、ドキリとした。

「鈍いな」

一言言い放たれ、足が止まる。