30分と経たずに戻ってきた高木誠也は、自分だけキッチリ着替えている。
「本当に乗るの?」
「怖いのか?」
「大丈夫かな」
山下さんから借りてきたという大きいヘルメットを渡され、渋々バイクの後ろに跨ると、思った以上に高くてやっぱり怖かった。
目の前の大きな背中を見ながら高校時代を思い出す。
「ねぇ。前にも乗せてもらったことあったね。自転車だったけど……」
「聞えねー。しっかり掴まってろよ」
言うが早いかエンジンが掛けられ、後ろに引かれるような感覚でバイクが走り出したから、慌てて腰を握り直した。
やっぱり怖い。
それでもしばらく乗ってるうちに、スピードとカーブは慣れてきた。
でも停止するときと、発信するときはどうしても慣れない。
信号待ちで停止したとき、ガチガチになってる私の腕にそっとセイヤが触った。
頑張れと励まされてるようで、あと少しなら耐えられるとちょっとだけ元気になった。
途中のディスカウントストアで止まって、地面に足を付けた時は、本当にホッとした。
なのに、
「メット買いに行くぞ」
不吉な言葉と共に、ディスカウントストアの中へと入って行く。
そうしてズラリとヘルメットが並んだコーナーの前で、
「どれにする?」
機嫌良さそうに聞いてきた。
その嬉しそうな顔を見ていたら、「いらない」なんて言えずに、綺麗な水色のヘルメットを買ってもらった。
「自分でお金は出す」と言ったけど、「そのために働いてんだから、俺に買わせろ」と、よく分からない理由を言われ、
たぶん高木さんは、大好きなバイクにお金をかけるために働いていると、言いたかったんだろう。
「本当に乗るの?」
「怖いのか?」
「大丈夫かな」
山下さんから借りてきたという大きいヘルメットを渡され、渋々バイクの後ろに跨ると、思った以上に高くてやっぱり怖かった。
目の前の大きな背中を見ながら高校時代を思い出す。
「ねぇ。前にも乗せてもらったことあったね。自転車だったけど……」
「聞えねー。しっかり掴まってろよ」
言うが早いかエンジンが掛けられ、後ろに引かれるような感覚でバイクが走り出したから、慌てて腰を握り直した。
やっぱり怖い。
それでもしばらく乗ってるうちに、スピードとカーブは慣れてきた。
でも停止するときと、発信するときはどうしても慣れない。
信号待ちで停止したとき、ガチガチになってる私の腕にそっとセイヤが触った。
頑張れと励まされてるようで、あと少しなら耐えられるとちょっとだけ元気になった。
途中のディスカウントストアで止まって、地面に足を付けた時は、本当にホッとした。
なのに、
「メット買いに行くぞ」
不吉な言葉と共に、ディスカウントストアの中へと入って行く。
そうしてズラリとヘルメットが並んだコーナーの前で、
「どれにする?」
機嫌良さそうに聞いてきた。
その嬉しそうな顔を見ていたら、「いらない」なんて言えずに、綺麗な水色のヘルメットを買ってもらった。
「自分でお金は出す」と言ったけど、「そのために働いてんだから、俺に買わせろ」と、よく分からない理由を言われ、
たぶん高木さんは、大好きなバイクにお金をかけるために働いていると、言いたかったんだろう。

