「奈々さん。3日くらい前、高木と何かありました?」
「え?」
演奏の音が響く中、山下さんが私にだけ聞こえる距離で話しかけてくる。
「珍しく酒を大量に飲んだようで、休みの日なのに部屋に籠りっきりで出てこなかったんです。そのあと、あなたが来れなくなったと私に話すから…ケンカでもしたんですか?」
「ケンカというか……」
音楽隊を挟んで、反対方向に高木誠也が現れた。
他の自衛隊員と談笑しながら、こっちを指さしている。
「あいつね。昔はあんなんじゃなかったんです。それがひと月前ぐらいからよく笑うようになって、やっと落ち着いてきたのかと安心してたとこなんです」
「……でも、私じゃダメみたいです」
音楽隊を囲む沢山の人たちで、高木誠也はこっちに来られないようだ。
「どういうことですか?」
「もういいんです。過去にとらわれ過ぎてて……今更、もう無理なんです」
「そんなこと、簡単に言わないでください!」
山下さんが声を荒げたとき、ちょうど音楽隊の1曲目が終わり、周囲の人たちが私たちを振り返るように見ていた。
しばらく俯いていると、2曲目が始まったので、山下さんが私に後ろの方へ行くようにと手で合図した。
「え?」
演奏の音が響く中、山下さんが私にだけ聞こえる距離で話しかけてくる。
「珍しく酒を大量に飲んだようで、休みの日なのに部屋に籠りっきりで出てこなかったんです。そのあと、あなたが来れなくなったと私に話すから…ケンカでもしたんですか?」
「ケンカというか……」
音楽隊を挟んで、反対方向に高木誠也が現れた。
他の自衛隊員と談笑しながら、こっちを指さしている。
「あいつね。昔はあんなんじゃなかったんです。それがひと月前ぐらいからよく笑うようになって、やっと落ち着いてきたのかと安心してたとこなんです」
「……でも、私じゃダメみたいです」
音楽隊を囲む沢山の人たちで、高木誠也はこっちに来られないようだ。
「どういうことですか?」
「もういいんです。過去にとらわれ過ぎてて……今更、もう無理なんです」
「そんなこと、簡単に言わないでください!」
山下さんが声を荒げたとき、ちょうど音楽隊の1曲目が終わり、周囲の人たちが私たちを振り返るように見ていた。
しばらく俯いていると、2曲目が始まったので、山下さんが私に後ろの方へ行くようにと手で合図した。

