コクリバ 【完】

集団は床に開いた穴から、下の階に下りようとしていた。
でも何が問題なのか、もたついているようで、簡単に追いつくことができた。

よく見ると、階段は急で、

「何?これどっち向きで降りるの?」

真理子先生が怖がって後ろ向きで手を付きながら下りだした。

だからミニスカート禁止だったんだと納得した。これじゃまるでハシゴだ。ミニスカで来てたら絶対見えてた。

私の前を高木誠也が軽々と下りていった。
手も付かず、後ろ向きにもならないで、慣れた感じで一瞬で下りきった。
もう生活の一部。自分の家にいるみたいに足元も見てない。

この階段をこの人は何度も下りたことがあるんだっていうのに気付いた時、なんてことない行動に先輩の6年間を垣間見たような気がした。


狭い通路とハシゴみたいな階段を上ったり下りたりしながら広い場所に連れてこられた。

初めて入った自衛艦の中はまるで異世界、映画の世界にでも入り込んだような気分。

「ここが食堂ね。ここを基点に案内するね。迷ったら食堂に戻って待ってればいいから」

山下さんが優しくそう教えてくれたけど、全く道順を覚えていない。

覚えられないくらい複雑。

迷ったら、一生ここには戻ってこれそうもない……