コクリバ 【完】

その笑顔に見とれていたら、

「おい」

不機嫌な低い声で呼ばれた。

「モタモタしてると置いてくぞ」

一々そんな不機嫌オーラを出さないと話せないのかと言ってやりたい、けどここはこの人の職場だから一応やめといた。


「高木さん」

さっき綺麗に微笑んだ男の子に呼び止められ、

「なんだ?」

「高木さんの知り合いですか?」

不機嫌オーラ全開の高木誠也に果敢にも聞いている美少年。

「そうだ」

「彼女さんですか?」

ドキンとした。
この人はなんて答えるんだろう。
嘘でも彼女だと認めてくれるのだろうか……

「いや」

冷たく言い放つと、そのまま私に背を向けて歩き出す高木誠也。


やっぱり、違ったんだ。
じゃ、あの時のあれは何だったの?
セフレ?
都合の良い女?

何とも想われてないのにこんなとこまでのこのこやってきて……

私、なにやってんだろ。