コクリバ 【完】

下ばかり見ていたけどふと顔を上げた時、目の前に巨大な建物があった。

「あ……」

建物と思ったのは、朝日を背に堂々とそびえ立っているような灰色の自衛艦。

これが高木誠也が乗っている艦なんだと思うと、灌漑深い。

想像していたより大きい。
そして無機質。


「奈々ー」

真理子先生に呼ばれて、集団から遅れていたことに気付いた。

走って集団のところに戻ると、もうすでにみんなは艦へと乗り込んでいる最中。

陸上と艦とをつなぐのは、銀色の細い橋。

頼りなげに置いてあるその橋を、典子先生は高木誠也に手を引かれて渡らせてもらっている。


なんだろう。


違和感を覚える。

私が艦に乗り込むのを待たずに集団は先に行ってしまうし。

慌てるけど、この頼りなげな繋がりを渡るのが怖い。

恐る恐るという感じで渡っていたら、

「大丈夫ですか?」

と、艦の方から腕を引っ張ってもらった。

「すみません。ありがとうございました」

お礼を言ってその人を見ると、まだ可愛い高校生かと思うくらいの男の子で、

「いえ」

と綺麗に微笑まれた。