まだ夕方だったけど、明日は仕事だからと早目に帰り支度を始める背中を見ていた。
ほんと、あの頃と身体つきが違っていて、誰か分からないくらい。

―――駅までの道を肩を並べて歩く。
冬は陽が暮れるのが早い。
薄暗くなった道は感傷的になる。

「行かないで」と言ってしまいそうになる―――


「奈々」
「はい」
「まだ先の話だけど、3月の終わりぐらいに、俺が乗ってる艦が一般公開になるんだけど……来るか?」
「一般公開?」
「あぁ。自衛隊の仕事ぶりを一般の人に見てもらおうってことだ。誰でも艦に乗られる。どうする?」
「行っていいんですか?」
「あぁ。もし来るなら目立たないようにしろよ。あと友達とか誰か誘えるか?」
「友達と?はい」
「それからミニスカートは履いて来るなよ」
「どうしてですか?」
「艦の中の階段は狭いし、急だ。ハシゴみたいな感じだな」
「そうなんですか」
「露出の多い服もやめた方がいい」
「はい」
「男ばっかだからな……やっぱ、やめとくか?」
「行きたいです」

高木先輩の職場が見てみたい。