コクリバ 【完】

それから少しの間、昨日のOB会での話を聞いた。

今日の私のスケジュールも兄が話したとか、
兄はまたかなり酔っていたとか……

ひとしきり話終えた時、沈黙が訪れた。

これで最後なんだ。
これ以上高木先輩と一緒にいる理由がない。

わざわざ会いに来てくれた先輩にお礼を言おうとしたとき、

「メシ食いに行くか」

ものすごく軽い感じで誘われた。

一瞬、聞き間違いかと思った。
だけど先輩は立ち上がり、カウンターの方へと歩いて行く。

出遅れて慌てて荷物を持って席を立っていくと、先輩がマスターと話をしていた。

二人の男がニヤリと笑い、マスターが私を見た。

「俺もついて行っていい?」

ニヤリと笑ったままの顔でマスターが聞いてくる。

「え?」

訳が分からない。

「行くぞ」と言った先輩はもうドアの方へ歩いていて、

「マスター。また今度」

それだけを言い残して、先輩を追った。