ジャケットを脱ぎながら店内を見渡している高木先輩をさりげなく盗み見る。
やっぱり高校時代と身体つきが違っている。
薄手のニットの下に、がっしりと筋肉がついた胸板がある。
あの頃は、もっと線が細かった。
じっと見ていたら目が合ってしまい、慌てて逸らした。
たったそれだけのことなのに、胸がドキンドキンうるさくなるからイヤになる。
「良い店、知ってるな」
低い声が、優しく語り掛ける。
「……はい」
その言葉を聞いて、気付いた。
この店の雰囲気が高木先輩に似ている。
お店が人と似ているって、おかしいかもしれない。
でも、オールドウッド調の店内に、たくさんの写真、そして何より珈琲の良い香り、この店に高木先輩がいることに違和感がない。
だから私はここが好きだったのかもしれない。
マスターがお冷を持って近づいてきて
「今日は?」
憮然とした態度で聞く。
「ブレンドで」
先輩にはもう少し愛想よくしてほしいなんて私が言えた立場じゃないか。
先輩にメニューすら出してなかったし……
「あの……何にしますか?」
今気が付きました感丸出しのままメニューを見せる。
絶対、気が利かない女だと思ってるに違いない。
「俺も。同じで」
「……」
先輩が答えたあと、一瞬だけ妙な間があった。
マスターが先輩をじっと見ている。
え?何の間?
「かしこまりました」
マスターがおもむろに切り替えす。そんな他人行儀な喋り方を初めて聞いた。
やっぱり高校時代と身体つきが違っている。
薄手のニットの下に、がっしりと筋肉がついた胸板がある。
あの頃は、もっと線が細かった。
じっと見ていたら目が合ってしまい、慌てて逸らした。
たったそれだけのことなのに、胸がドキンドキンうるさくなるからイヤになる。
「良い店、知ってるな」
低い声が、優しく語り掛ける。
「……はい」
その言葉を聞いて、気付いた。
この店の雰囲気が高木先輩に似ている。
お店が人と似ているって、おかしいかもしれない。
でも、オールドウッド調の店内に、たくさんの写真、そして何より珈琲の良い香り、この店に高木先輩がいることに違和感がない。
だから私はここが好きだったのかもしれない。
マスターがお冷を持って近づいてきて
「今日は?」
憮然とした態度で聞く。
「ブレンドで」
先輩にはもう少し愛想よくしてほしいなんて私が言えた立場じゃないか。
先輩にメニューすら出してなかったし……
「あの……何にしますか?」
今気が付きました感丸出しのままメニューを見せる。
絶対、気が利かない女だと思ってるに違いない。
「俺も。同じで」
「……」
先輩が答えたあと、一瞬だけ妙な間があった。
マスターが先輩をじっと見ている。
え?何の間?
「かしこまりました」
マスターがおもむろに切り替えす。そんな他人行儀な喋り方を初めて聞いた。

