コクリバ 【完】

真理子先生と別れて、一人で買い物に行くことにした。
カバンに入れっぱなしだった携帯を確認すると、着信を知らせる文字が浮かんでいる。

朝もかかってきた見知らぬ番号。

どうやらご祈祷の最中にかかって来ていたようだ。

2度もかけてくるなんて……なんか怖い。

気にはなるけど、かけ直す気にはなれずそのまま買い物続行。

お一人様ランチにも今の内から慣れておくようにしなきゃ……


一通りブラブラして、夕方になる前に自宅のある駅に着いた。

あれから携帯を気にしてるけど、見知らぬ番号からかかってくることはなかった。

駅の改札を出て、南口と表示されたいつもの階段に向かう。

人の流れにのって、履き慣れないヒールを気にしながら、階段を下りていく。

あと数段で下りきるという時、前の方から視線を感じて、ふと顔を上げた。

階段の前には見慣れた木が一本立っている、その横に立っている男の人がこっちを見ている。