コクリバ 【完】

「もっと早くにあなたを助けたかった」
「いえ、そんな……」
「……」
「……」

洋祐先生の視線を感じる。
次の言葉が出てこない。

「辞めませんね。奈々先生」

零れた涙は後悔の涙。

「……はい。もう少し、あの子たちの先生でいさせてください」
「そんなこと言わずにずっと先生でいてください」
「いいんですか?」

洋祐先生の眼鏡の下の目が優しく崩れた。

「もちろんです」
「ありがとうございます」

まだ先生でいられる。
あの子たちの成長を見ていられる。

良かった。

「やっと笑いましたね」

洋祐先生がこれまで見たことないくらい優しい表情をしていた。