コクリバ 【完】

「何の覚悟だ?」

「……」

口調が変わった洋祐先生の顔を思わず見てしまった。

「辞めて責任を取るとでも言うつもりか?」

これまで見たことがない洋祐先生の怒り。

「……」
唇を噛みしめて俯くしかできなかった。

しばらくの沈黙のあと言われた言葉は、洋祐先生の声も震えていた。

「あなたがその程度の人間なら、子供たちが可哀想だ」

「うぅ……」

自分の不甲斐なさが悔しい。
両手で顔を覆って泣いた。

一番迷惑をかけていたのは、ヒマワリ組の子供たち。

私に向けてくれるあの笑顔を、私は裏切ろうとしている―――


マスターの言う通りだ。

私は逃げようとしていたんだ。



階段下とは言っても、ここは駅前で人通りは少なくない。
だけど、私は涙が止まらなかった。

洋祐先生は何も言わずに、前に立っていた。