市原先輩は、本当に後ろを向いた。

「デコルテも出した方が、綺麗だと思うんだ」
「制服だと現実的過ぎるから、もっと抽象的な雰囲気にしたいんだよね」
「イメージは光の中にいるような……」

私に背を向けたまま先輩が熱心に語ってくれてる。
本当に、純粋に、絵が描きたいんだと分かる言い方。

先輩の頭の中には、既に構図が出来上がっているのかもしれない。

恥ずかしいって言ってることの方が、恥ずかしいこと考えてると言ってるみたいで……

ここで私が躊躇してはいられない。

半そでの制服から腕を抜いた。
そうして胸の上でまとめる。

肩にはまだキャミ紐とブラ紐が残っていたから、それも外して制服の内側に押し込んだ。

シーツを胸の上まで引っ張ると、制服は全く見えなくなった。

「先輩…」

振り返った市原先輩と目が合う。

先輩の顔が優しく微笑んだ。

「綺麗だよ。奈々ちゃん」

顔から火が出るくらいに恥ずかしい。
肩や鎖骨を男の人に見られるなんて……