コクリバ 【完】

気付くと吉岡が戻って来ていた。

「そのままだとヤバイから、これに着替えろ」

渡されたのは男物のジャージ上下とTシャツ。

「俺のだ。イヤだろうけど、これしかない。早くしろよ」

そう言うと吉岡は給湯室から出て行った。

「早くしないと、無理やり着替えさせるぞ」

外からそんな大きな声が聞こえた。

ほとんど何も考えられなくなった頭で、言われた通りにノロノロと吉岡が用意してくれたジャージに着替える。

寒かったけど、乾いた服に着替えると、身体の震えは治まった。

ぶかぶかの服が暖かい。


一人だと、どんどん良くない方に考えてしまうから、吉岡がいてくれて良かったと思う。

誰かといれば、赤い傘に囚われなくてすむ。


「もういいか?」

遠慮がちな吉岡の声に、

「うん」

小さくそう答えた。

再度入って来た吉岡は制服に着替えていた。
私に自分のコートを被せ、前の椅子に座る。

「吉岡も寒いでしょ?」

コートを返そうとしたら、

「いいから着てろ」

そう言ってバスタオルを拾い上げ、私の髪を拭きだす吉岡。