コクリバ 【完】

あれだけずっと待ってたのに、先輩は電話をくれなかった。
それどころか携帯を持ってたことも知らなかった。

うな垂れる私の頭に、雨水が容赦なく降り注ぐ。

「緒方。行こう」

横を見ると吉岡がいた。

「ここにずっといるつもりかよ」

それでも良かった。

もう立ち上がる力もない……

「…メール。するんだって…」
「は?」
「橘先輩に、メールするんだって……」
「……」
「私は携帯番号さえ、教えてもらえなかった……」

膝に顔を押し付けて泣いた。

みじめだ。

高木先輩を信じて待ってたのに、
ちゃんと言えばまだ信じてもらえるなんて……思い上がりだった。


「…何やってんだよ!」

怒った吉岡が私の腕を引き無理やり立たせる。

「もう、いい……」

もう全てがどうでもいい。

「だったら歩けよ。濡れてんだろ!」

吉岡が私の腕を掴んで歩きだすから、ヨタヨタと引っ張られるまま足を動かした。