コクリバ 【完】

「えー。すごい」
「…ないだろ?」

聞きたくないのに、雨音に混じって楽しそうな高木先輩と橘先輩の会話が聞こえる。

「もう仮免だなんて、すごいって」
「小田の方が早かったって」
「高木君がBコース行くとき、私後ろ乗っていい?」
「あぁ」

私の知らない世界の話を……

「あの踏切のとこがヤバいんでしょ?」
「そこより、その先の坂道発進のとこだろ?」

私といたときよりも楽しげに……

「えー、それ知らない」
「聞いてねぇの?」

高木先輩が話している。
しかも、笑っている。

「うっ…」

嗚咽が出てしまい、慌てて口を手で押さえた。

見つかってしまう。

「小田にもらったメールいる?」
「なんの?」

高木先輩の声が離れて行く。

「Bコースのルート。危険個所も……」
「欲しい!」
「じゃ、転送するな」
「うん、ありがと……」

―――先輩、携帯持ってるんだ……