「先輩…」
そう一歩踏み出した時、
「ありがとうございました」
楽しげな高木先輩の声が聞こえてきた。
体育教官室のドアのところで先輩が傘を差そうとしている。
真っ赤な傘を……
高木先輩の後ろから、もう一人生徒が出てきて、同じように教官室の中に挨拶している。
「あはは…私も行きますよ…」
橘あおい先輩だった。
ショートカットの似合う、女子バスケのキャプテンだった橘先輩―――
高木先輩が赤い傘を差し、その中に橘先輩を入れ、もう一度二人で教官室に頭を下げていた。
二人とも楽しそうに笑っていて……
どう見てもお似合いって感じの仲の良さ……
胸が痛い。
一つの傘に入って高木先輩と橘先輩がこっちに向かって歩き出した。
ハッと我に返った。
このままだと見つかる。
あんな綺麗な橘先輩を連れた高木先輩に会いたくない。
辺りを見回した時、
「こっち」
吉岡が私の腕を掴んでいた。
用具入れの陰に滑り込み、後ろ側に隠れて息を殺す。
冷たい雨が容赦なく体を濡らしていく。
そう一歩踏み出した時、
「ありがとうございました」
楽しげな高木先輩の声が聞こえてきた。
体育教官室のドアのところで先輩が傘を差そうとしている。
真っ赤な傘を……
高木先輩の後ろから、もう一人生徒が出てきて、同じように教官室の中に挨拶している。
「あはは…私も行きますよ…」
橘あおい先輩だった。
ショートカットの似合う、女子バスケのキャプテンだった橘先輩―――
高木先輩が赤い傘を差し、その中に橘先輩を入れ、もう一度二人で教官室に頭を下げていた。
二人とも楽しそうに笑っていて……
どう見てもお似合いって感じの仲の良さ……
胸が痛い。
一つの傘に入って高木先輩と橘先輩がこっちに向かって歩き出した。
ハッと我に返った。
このままだと見つかる。
あんな綺麗な橘先輩を連れた高木先輩に会いたくない。
辺りを見回した時、
「こっち」
吉岡が私の腕を掴んでいた。
用具入れの陰に滑り込み、後ろ側に隠れて息を殺す。
冷たい雨が容赦なく体を濡らしていく。

