高木先輩はジロリと教室の中を見回し、私の姿を見つけると眉間にシワを寄せた。

こんな状況なのに、高木先輩の姿を見たら安心する。

なのに……

「高木!雅人!おまえらでこいつら外に出せ!」

菊池義人が中山さんを抑えながら、吉岡とオサムッチをアゴで指した。

「出すな!なんで許してんだよ!」
「そうだ。中山。キッチリ教えてやれ!」

吉岡とオサムッチは社会人となったOBたちに囲まれている。
人をかき分け高木先輩がみんなの前に出た。

高木先輩まで私のために吉岡を殴るのか。と思った瞬間、

先輩はすっと吉岡とオサムッチに背中を向け、正座をして中山さんやOB達に頭を下げた。

「キャプテンだった俺の責任です。すいません。こいつらには俺からよく言っておきます」

そう言うと、両手を床についた。



先輩は、私よりも、吉岡を守った。