コクリバ 【完】

翌朝、学校の昇降口で吉岡を見つけた。

コクリバでの、まさかの彼女持ち宣言で、失恋と呼ぶにはまだ小さいその気持ちだったけど、やっぱり吉岡の顔は見れない。

不自然にならないようにゆっくりと吉岡とは離れるように教室に向かう。
吉岡も振り返ることはなかった。

何事もなかったように吉岡は他の男子と話している。
私一人だけが気にしてるのかもしれない。

絢香が登校して、私を見つけて嬉しそうに近づいてきたけど、私はだまって首を横に振った。

だってこんなとこで話せるような内容じゃない。

絢香は不思議そうにしていたけど、何度か軽く頷くと自分の席に戻っていった。
気が付いたんだろう。

放課後まで普通を装って過ごした。

ただ一つ心が動いたことと言えば、教室移動の時。
3年生たちとすれ違う時ドキドキした。
でもあの黒い姿をみつけることはできなかった。

「はぁ~」
無事に今日一日が終わった。
そう思った途端、
「行くよ!」
「どこに?」
「部活に決まってんじゃん」
絢香はそんな部活命の子じゃないはずなんだけど……