コクリバ 【完】

何でモデルなんかやったんだろう

高木先輩からそのうち電話がかかってくるとか
誤解が解けたらまた付き合えるとか
私はまだ高木先輩の彼女なんだとか

―――そんなこと、もうある訳ない―――

全部、都合の良い願望。


分かっていた。
頭のどこかで分かっていたけど、認められなかった。
認めたら全てが壊れてしまいそうで……

始めから壊れていたんだ。

高木先輩の冷たい目を思いだす。

やり直せるならやり直したい。
あの日の電話に出たい。
モデルなんかしなきゃ良かった。

もっともっと高木先輩と一緒にいたかった……

「…せ、んぱい……」


本屋の駐車場の隅に座りんでいた。
通り過ぎる人たちの視線を感じるけど、立ち上がることができない。
もういろんなことがどうでもよくなる。

そんな下を向いてる私の視界にNIKEのスニーカーが入ってきた。
黒地に青いNIKEのマーク。

ほっておいてほしいのに、おせっかいな人。

スっと瞼を閉じた時だった。

「誰にやられた?」

低い声に、一瞬で瞼が開ききった。

「立てるか?」

胸がドキドキとうるさく鳴っている。

「おい……」

NIKEのスニーカーの向こうに黒い自転車のタイヤが見える。

まさか……

ゆっくり顔を上げると、


高木先輩が立っていた。