「俺も殴られそうになったことあるもんなー」
「お前ふざけ過ぎなんだよ」

この二人は見ていて楽しい。

中山さんの派手な行動に、兄は文句を言いながらしっかりサポートしている。
キャプテンと副キャプテンの頃からの、役割分担ができているんだろう。

「奈々ちゃん、これ俺の携帯番号とアドレス」

中山さんが私にカードみたいなのを渡そうとして、身を乗り出してきた。

「なっ…おまえ、どっから出したー!」

必死になってそのカードを取り上げようとする兄は、完全に遊ばれている。
苦笑いしか出ないよ。

「奈々!おまえ、買い物行ってこい!
いい若いもんが、家の中でゴロゴロするな!」

どう見ても、とばっちり。

「電池買ってこい」
「電池?どこの?」
「リモコンの」
「あー。単三?」
「単四…もうなんだっていいから買ってこい」

これ以上ここにいたら面倒そうだったから、仕方なく買い物に行くことにした。