上から覆い被さるように抱擁され、高木先輩とは違うその感触に戸惑う。
ただ逃げられないように捕まえられてるという感じ。
同時に、なんで? って言葉が浮かんでくる。
住宅街とは言え、人が全く通らない訳じゃない。
こんなところ誰にも見られたくないし、ましてや兄だってすぐに戻ってくるはずなのに……
兄はまだ追いつかない。
なんとか逃げ出さなきゃと焦るけど、ちょっと押したくらいでは全く何ともならなかった。
「離してください」
やっとの思いで、身をよじりながら言えた。
少しの沈黙の後、中山さんの腕の力が緩んだ。
だけど緩んだだけで、中山さんはまだ解放してくれない。
それどころか抱きしめられてる頭のところに、中山さんの頬がくっついているのがわかった。
軽くパニックだった―――
「奈々ちゃん。俺と、付き合って」
ドキリとした。
中山さんの声はか細くて、いつも堂々としている中山さんのそれとは思えず……
「……」
なんで突然そうなるのか、私には理解できなかった。
いや、分からないフリをしたかったのかもしれない。
だって、もう一人の兄だと言ったじゃない……
「返事はすぐじゃなくてもいいから、考えといて」
私をその腕から解放すると、いつもの中山さんの口調に戻っていた。
だけど、私はもう先輩しか見えてなかったから、
「……ごめんなさい……」
悩むことなくお断りした。
「…今じゃなくてもいいから…」
もう一度そう言って、中山さんは背を向けて歩き出した。
その後はもう何も話しかけられることはなく。
ただ無言で私の家の前で別れた。
ただ逃げられないように捕まえられてるという感じ。
同時に、なんで? って言葉が浮かんでくる。
住宅街とは言え、人が全く通らない訳じゃない。
こんなところ誰にも見られたくないし、ましてや兄だってすぐに戻ってくるはずなのに……
兄はまだ追いつかない。
なんとか逃げ出さなきゃと焦るけど、ちょっと押したくらいでは全く何ともならなかった。
「離してください」
やっとの思いで、身をよじりながら言えた。
少しの沈黙の後、中山さんの腕の力が緩んだ。
だけど緩んだだけで、中山さんはまだ解放してくれない。
それどころか抱きしめられてる頭のところに、中山さんの頬がくっついているのがわかった。
軽くパニックだった―――
「奈々ちゃん。俺と、付き合って」
ドキリとした。
中山さんの声はか細くて、いつも堂々としている中山さんのそれとは思えず……
「……」
なんで突然そうなるのか、私には理解できなかった。
いや、分からないフリをしたかったのかもしれない。
だって、もう一人の兄だと言ったじゃない……
「返事はすぐじゃなくてもいいから、考えといて」
私をその腕から解放すると、いつもの中山さんの口調に戻っていた。
だけど、私はもう先輩しか見えてなかったから、
「……ごめんなさい……」
悩むことなくお断りした。
「…今じゃなくてもいいから…」
もう一度そう言って、中山さんは背を向けて歩き出した。
その後はもう何も話しかけられることはなく。
ただ無言で私の家の前で別れた。

