なんだか落ち着かない。
会議室の整理をしなくていいと言われたことか、それとも真昼間なのにわざわざ五十嵐に送って行けと言ったことに対してなのか、妙に胸がソワソワする。

「なんでそんなに木村さんが出てった方を見てんだよ」

五十嵐が私を下から覗いている。
五十嵐に言っても気にし過ぎだと笑われるのかもしれないけど……

「変じゃなかった?」
「何が?」
「木村課長。私に仕事の指示を出していかなかった」
「疲れてたんだろ。誰だってウッカリすることぐらいあんだろ」
「うん。でもこんなの初めて」

コーヒーのカップを持ち上げたら、もう飲み干していた。
でも目の前の木村課長のコップにはコーヒーがまだ残っている。

あんなにコーヒー好きの課長にしては珍しく残している。

あれ?五十嵐が何も喋らない。

横を見ると、目が合った。

「そんなに木村さんが心配なのか?」
「うん、もちろん。私にいろいろ教えくれたのは木村課長だよ」

五十嵐が視線を逸らして手で顔を覆う。

「おまえ、その言い方……イヤらしい意味に捉えられるぞ」

五十嵐の言葉を聞いた瞬間は何のことを言ってるのか理解できなかったけど、理解した途端

「なっ、バカ。そっちがイヤらしいっての」

顔が赤くなった。