「これは凄い子と出会ったわねん」とマドレーヌは貴婦人らしいお淑やかな振る舞いでリルに頭を下げた。


「自己紹介が遅くなってしまって申し訳ないわん。装飾店クリーム・クレーム、店主のマドレーヌよん」


「よろしくねん」と微笑まれ、リルは「こちらこそ」と頭をさげた。


「それで、今日はどういった用件かしらん?」


「彼女は最近王都にやって来たばかりなので、今日はメアと一緒に王都を案内する約束なんです」


「ああ、メアを迎えにきたってことねん」


「それであの子はすごく嬉しそうな顔をしていたのねん」とマドレーヌはひどく納得した様子だった。


「あの子がずっと嬉しそうなニコニコ顔をしていたのよん。何か楽しみなことがあるのかしらんと思っていたら、そういうことだったのねん」


まるで自分のことのように喜ぶマドレーヌを不思議に思っていたリルに、アーディが説明してくれた。


「マダムはメアのお師匠様でね、それまで誰も見向きもしなかったメアの装飾品作りの才能を認めて働かせてくれたんだよ」


「もう一人のお母さんみたいな存在なんだ」と嬉しそうにアーディは言う。

ああ、だからなのかとリルは思った。マドレーヌからメアに対する家族のような暖かい感情が溢れてくるのは。

するとマドレーヌは「あの子は天才なのよん」と言った。


「あの子の作品を初めて見たとき、どうしてみんな気づかないのかしらんと思ったわん。才能に恵まれた子なのよん。作品は女の子らしくて可愛らしいものばかりなのに、性格は不器用なところが愛おしいったらないわん」