一歩近づくとリルの目をまじまじと見つめながら言った。

「あまり見ない顔ね」

メアの大きな瞳は捉えたリルの目を離さない。鮮やかなエメラルドの瞳はまるで宝石のようにも思えた。

こんなに美しいエメラルドの瞳の少女は初めて見るかもしれない、とリルは思った。アルトワールには少女のような色の瞳を持つ人はいなかった。

見つめられ続けるリルは緊張しながら「さ、最近やってきたもので…」と答えると、それを見かねたリュートが、「おいメア、お前の迫力にこの子も萎縮しちまってるだろうが」と助け船を出す。

「あら、それはごめんなさい」

メアはすぐにリルから一歩遠のいて微笑んだ。


「わたしはメア・プリムヴェルよ」


「メアでいいわ」と微笑む彼女に、リルは頭を下げて自分の名前を告げた。


「メアは装飾品が好きで、自分で作っちゃうんだよね」

アーディの言葉にメアは得意そうに大きく頷いた。

「もしかして、今身に着けているものも?」

リルはメアが身につけている装飾品を見つめながら尋ねる。

揺れる大きな耳飾りも髪飾りもとても個性的で彼女をより一層引き立てている。

メアが「ええ、もちろん」と答えたのを聞いたリルは、「すごいね!」と興奮してその手を握った。

素直に褒められてしまったメアは呆気にとられたようで言葉を詰まらせてしまった。照れてしまって口角が上がりそうになるのを必死に抑えて、褒められて嬉しいのを隠したくて口をパクパク動かしている。

それを見て吹き出したのはアーディだった。


「メア、照れてる」

「照れてないわよ、馬鹿なこと言わないでくれる、アーディ!」


半分怒ったように言うメアに、アーディは笑みがこぼれてしかたがなかった。