「それにしても、えらいことになったな…」

店はごうごうと燃える赤くい炎で包まれていた。

改装祝いをしていた店が燃えるのを、リュートとアーディは呆然と見ていた。


「リル!」


自分の名前を呼ぶ声が聞こえて顔を向けると、オリバーが走ってきた。


「オリバーさん!」

「無事じゃったか」


ほっと安心したような顔をしたの見てリルは嬉しくなった。


「オリバーさんも無事で良かった」


そう微笑むとオリバーは「良かったじゃないわい!」と叫んだ。


「手当してこいと言ったら帰ってこんし、今まで何をしとったんじゃ!」

「す、すみません…」


慌てて謝ると、「のことは、もういいわい」と溜め息を吐き出して「よう気づいたのう」とオリバーは関心したように言った。


「あ、あの、それが…」


フラムルージュを贈った男性のことを伝えようとしたときだった。


「ミシェル!ミシェル!」


おじさんが大声で呼びかけながら彷徨う。その目は不安と絶望で満ちてた。


「どうした、ジャック!」


リュートが声を掛けると、ジャックと呼ばれたそのおじさんは呆然とした様子で言った。


「よ、嫁さんが…ミシェルがいないんだ…!」


一同に衝撃が走った。


「いないって、まさか…」


皆の目が燃えさかる店の方に向けられた。

皆思うことは同じだった。


ミシェルさんはまだ、あの店の中にいる。


「行かなきゃ!」


リルはすぐに店に向かって走り出した。


「おい!待つんじゃ、リル!」


オリバーの制止する声が聞こえるが今のリルには届かない。