「それで、探している人には会えたの?」


アーディの問いにリルは顔を暗くして首を横に振る。


「名前も住んでいる場所も分からないの」


あの人はただ王都で会おうとしか言わなかった。王都のどこなのかも、日時も、時間も、何も決められていない。それを思い出してリルは探している人に本当に会えるのか不安な気持ちが膨らんでいく。


「それじゃあ、探しようがないね」


アーディも眉間にしわをよせて残念だと言わんばかりの表情をする。

「何かその人の特徴はないの?」というアーディの言葉に、リルは必死になって記憶をたどった。


「金色の透き通るような髪の男の子だよ。いつも目を細めて笑ってた。私と大体同い年位だと思う。

あとは、このペンダントをくれたの」


服の下に隠していたペンダントをアーディに見せる。

村の祭りのときにあの人がくれたペンダントだ。

小さなガラスの球の中に、星屑のような黄色い小さな花、アストロエトメリアのドライフラワーが込められている。


「綺麗なペンダントだね」

「うん、私もそう思う」


あの日、このペンダントをもらった日からリルは肌身離さずこのペンダントを身に着けていた。今ではもう体の一部のような感覚さえするほどだ。


「残念だけど、僕の知り合いには金髪でいつも笑顔の同い年位の男性はいないんだ」


「役に立てなくてごめんね」というアーディの言葉にリルは首を横に振る。


「ううん、ありがとう」


するとアーディはこんなことを言い出した。


「僕も一緒に探すよ」


突然のアーディの申し出にリルは驚きのあまり目を見開いた。