「急にどうしたの、そんなの…」

「関係大ありよ」


関係ないなんて言わせないとばかりに、メアはリルに一歩近づいた。


「リルは今の自分の気持ちを押し殺そうとしてる。どうせ叶わないって思って、諦めようとしてる。違う?」


図星だった。

まるで見透かされたような言葉にリルは目を見開いて黙り込んでしまった。


「別にリルがシオンのことをどう思っていようがわたしには関係ないし、リルの勝手だわ」


「でもね」とメアの真っ直ぐな目がリルを捕らえる。


「リルは言ってた。そのペンダントを贈ってくれた人を探してるって。そのために王都に来たんだって。

リルはそれくらい気持ちが真っ直ぐで強い人なんだって、わたし、憧れた。そんなリルの友達になれて嬉しいって思った。会えて良かったって思ってる。

なのに今リルは自分の気持ちを殺そうとしている。そんなの許さない。許さないわよ!」


メアは怒っていた。怒っている以上に悲しんでいた。

自分の憧れが壊れようとしているのが無性に情けなくて悔しかったのだ。

メアの言葉を聞いたリルは驚きながら、自分が今ここにいる理由を思い出す。

幼い頃出会った男の子を探して王都に来た。そしてリルはその男の子がシオンであることを突き止めた。

けれど、シオンはそれを知らない。

シオンとリルがアルトワールで出会ったことを、シオンは知らないままなのだ。


それは約束を果たしたと言えるのだろうか?