突きつけられた現実に耐えきれなくて静かに涙を流すリルに、オリバーは「さあのう」と穏やかに答えた。



「そういうものじゃよ、真実なんてもんは」



悟ったように細められた目の奥には一体どんな過去があると言うのだろう。

熱のある頭で考えてもリルには何一つ分からない。

オリバーにもリルと同じように悩むことがあったのかもしれないということしか分からない。



「ただ、残酷なばかりでもないのが人生ってやつじゃ」



「いいからもう寝なさい」とリルに毛布をかける。


「よう考えても分からんこと考えるより、体を治すことの方が先じゃ」


その言葉でまるで魔法にかかったみたいに眠気がリルの思考を包み込んでいく。


「オリバーさん…」


ぼんやりする視界の中で、かすかにオリバーが穏やかな顔をしている気がした。

オリバーの小さくて皺の寄った手の暖かさが頭部にじんわりと広がって、リルの意識は眠りの底に落ちた。




完全にリルが眠った後、オリバーの元を訪ねる人の姿があった。


「オリバーさん」


それは二人、リュートとアーディだ。


「おお、待っておったぞ」とオリバーは二人の元に駆け寄る。


「すまぬのう、この夜ふけに呼び出して」


「他ならぬあんたの頼みだ。それにフルリエルには借りがあるからな」


ニカッと歯を見せてリュートは笑う。


「で、俺達に何の用だ?」