「シオン兄様!」
王女は歓喜の声を上げる。
シオンは振り返らずに厳しい声で「お前らは奥へ行け!」と叫び、「リコリス様、こちらへ!」とエリオットが裾を引っ張った。
リコリス王女を守りながら奥の間に逃げる間も、リルはシオンから目を離せなかった。
王女は奥の間に逃げ込むと、すぐに剣がぶつかり合う金属の音が聞こえてきた。
シオンの安否を気にしていると、「リル」と王女は名前を呼んだ。
そちらに顔を向けると、王女はリルに頭を下げた。
「感謝しますわ、わたくしを守ってくださって」
「いっ、いえ、私は何も__」
懸命に首を横に振るリルに王女は意味ありげに笑う。
「なるほど、兄様が貴女を気に入る理由が分かりましたわ」
「え?」
けれど王女はリルの問いには答えないまま「衛兵!」と叫ぶ。
すぐに衛兵は駆けつけて、バーキット伯爵は捕らえられた。
バーキット伯爵が連行されてからすぐ、私とリコリス王女がいる奥の間にシオンがやってきた。
「無事か、リコリス」
いつもとあまり変わらないが少し心配したような表情をするシオンに、王女は微笑んだ。
「ええ、兄様とこのお方のおかげですわ」
そう言って姫はにっこり微笑みながらリルを見つめる。
シオンからも見つめられたリルは急に照れくさくなって「そんな、大したことはしていませんから」と首と手を横にふる。
王女は歓喜の声を上げる。
シオンは振り返らずに厳しい声で「お前らは奥へ行け!」と叫び、「リコリス様、こちらへ!」とエリオットが裾を引っ張った。
リコリス王女を守りながら奥の間に逃げる間も、リルはシオンから目を離せなかった。
王女は奥の間に逃げ込むと、すぐに剣がぶつかり合う金属の音が聞こえてきた。
シオンの安否を気にしていると、「リル」と王女は名前を呼んだ。
そちらに顔を向けると、王女はリルに頭を下げた。
「感謝しますわ、わたくしを守ってくださって」
「いっ、いえ、私は何も__」
懸命に首を横に振るリルに王女は意味ありげに笑う。
「なるほど、兄様が貴女を気に入る理由が分かりましたわ」
「え?」
けれど王女はリルの問いには答えないまま「衛兵!」と叫ぶ。
すぐに衛兵は駆けつけて、バーキット伯爵は捕らえられた。
バーキット伯爵が連行されてからすぐ、私とリコリス王女がいる奥の間にシオンがやってきた。
「無事か、リコリス」
いつもとあまり変わらないが少し心配したような表情をするシオンに、王女は微笑んだ。
「ええ、兄様とこのお方のおかげですわ」
そう言って姫はにっこり微笑みながらリルを見つめる。
シオンからも見つめられたリルは急に照れくさくなって「そんな、大したことはしていませんから」と首と手を横にふる。


