はじまりは、幼い頃。

なんてことない田舎町に、あなたがやってきた。


「これ、あげる」


一緒に行った、村の祭り。

その屋台で売られていたペンダントを、あなたが私に買ってくれた。

あなたの嬉しそうな、少し照れたような顔を、今でも鮮明に覚えている。


「王都にかえらなきゃいけないんだ」


だけど幸せな時間はあっという間に過ぎていって、私たちは別れの時を迎えた。


「いつか必ずまた会おう」


「約束だよ」



そう指切りをして、私たちは別れた。



「王都でまってる」



あなたが残したその言葉を、私は今まで一度も忘れたことがありません。


あなたはどうですか?


幼い頃の記憶なんて、もう忘れてしまいましたか?


もしまだ覚えてくれているのなら、また一緒に笑いあってくれますか?



華の17歳。

自分の人生を自分で決めれるようになるこの年を迎えた私は、自分の運命を決める旅に出る。


行き先は、王国ダンディオーネの王都・パルテナ。


目的は、名前も知らないあなたを探すこと。


手掛かりは、あなたがくれたこの黄色い花のペンダント。



ただひとつ。