「智樹……」

「間一髪。間に合ってよかった」

智樹はホッとしたのか、少し私に笑みを見せた。
けれどまた厳しい表情に戻り、圭悟を見る。


「誰だよお前……。関係ない奴が首突っ込んでくるんじゃねぇ」

「それがさ、大いに関係あるんだけど。俺の婚約者に何やってんの?」


智樹の言葉に圭悟は眉間に皺を寄せ、さらに睨む。
しかし智樹は動じる事は一切ない。

私の首に腕を回し、安心させるようにぐっと引き寄せた。

「婚約者……?俺と別れてからまだ半年だぞ?ハッ、まさか俺の事散々責めといて、京香もちゃっかり浮気してたんじゃねぇよな!?」

「ふざけた事言ってんじゃねえよ。京香はお前みたいな最低な人間じゃない。京香はお前と別れてから付き合ったんだ。一緒にするな」

「だって半年だぞ!?そんな短期間で……」

「短期間だから、なんなの?」

圭悟の言葉を遮るように、智樹は畳みかける。

「お前さ、京香の事バカにしてない?離婚してまでもお前の事ずっと引きずってるとでも思った?時が経てば元鞘に戻れるとでも思ってた?そんな事あるわけないじゃん。不倫相手との絡み見られて、それでも戻れると思ってるなら、相当頭ん中お花畑だわ」


「なっ……!」



「出会ってから結婚するまでに、長いも短いもない。大事なのはお互いの気持ちだよ。京香は俺と今度こそ幸せな夫婦生活をしたいって思ってくれたから、俺の気持ちに応えてくれたんだ。お前じゃ絶対に京香を幸せになんて出来ない。幸せに出来るのは、俺だけだ」