全裸だったということもあってか、圭悟が追い掛けてくる気配はなかった。

私は両手に荷物を抱えたまま、とぼとぼと歩いてきた道を戻る。



圭悟とは三年ほど付き合って入籍。

とっても優しくて喧嘩なんてほとんどしなかったし、話も面白くて尽きることがなくて、毎日幸せだった。


夜景が見えるレストランでプロポーズされた時なんか、ベタな展開にもかかわらず嬉しすぎて泣いちゃって、化粧が涙でドロドロになって様にならなかったけど、それでもこれ以上はないくらいの一生もんのいい思い出だと思ってた。

この先もずっと笑って、圭悟と一緒に過ごしていい思い出を作っていけるものだって思ってたのに。


『一生死ぬまでお前だけだ』って台詞は嘘だったの!?
たった三ヶ月で、私だけじゃなくなったの!?

絶対に幸せにするって言ったのに。
どうして今の私はこんなにも不幸せなのよ!!




思うことはたくさんあった。

叫びたいことももちろん。



でもその日は、狭いビジネスホテルの部屋でひとり、ベッドに顔を埋めて泣いた。