結婚も2度目だからこそ!

その後、けじめとして京香には自分の今出せる全財産を振り込んで、京香とは縁が切れた。

会社では彼女と不倫をして離婚した事が噂となり、それが上の方まで話が伝わって、彼女は白い目で見られるようになってしまい、ほとんどクビ同然の自主退職。


順風に出世街道を歩んでいた俺も、その事があだとなって閑職へと追い込まれる。


出世どころか、もうそれ以上未来のない場所。

そこでは暇さえあれば、天職サイトを眺めているような人間が集う所だった。


給料もボーナスも前に比べて驚くくらい落ち、会社の中を歩けばひそひそと陰口を叩かれる。

家に帰ってもそこにもういるべき人はおらず、暗くしんとした空間が広がっている。


ここももうじき引き払わなくてはならない。

今の給料では到底払えないから。

仕事も、いつまで続けられるのか、続ける事が出来るのか、それすらも分からない。



腕によりをかけた出来立ての料理も、今ではコンビニやスーパーで買った値引き品のもの。

どれも味が濃く同じように感じられて、美味しいとは思えない。



自分がどれだけ幸せな空間にいたのか、日を追うにつれてまじまじと痛感させられる。

それを壊したのは俺なんだと分かっていても、どうしてもその寂しさを受け止めたくはなかった。




だから、消せなかった連絡先にメールする。

『寂しい』と。


非通知で、コールを鳴らす。

声を聞きたいと。




……謝りたい。

出来れば、また京香と昔のような関係に戻りたい。




絶対に無理だって分かっていた。


――けれど、その絶対の中にあるかもしれない微かな可能性に、かけるしかほかなかった。