それから毎週京香と飲みに歩くようになって2ヶ月ほど経ち、気付けば自分の所属する団の演奏会が近くなっていた。
練習も本番が近付くにつれ、増えていく。
仕事と趣味と、そして京香のこと。
色々と大変だったが、とても充実していた。
俺はこの時考えていたことがあって、演奏会に聴きに来てもらおうと思っていた。
そしてその演奏会が終わった後、俺は京香に告白しよう、そう考えていた。
昼休み、いつものように飲みに誘おうと京香に声を掛ける。
京香は俺の誘いに、少し言葉を濁した。
「先輩、今日はちょっと……」
「なに?なんか用事でもあるの?今日ちょっと渡したいものがあるから、ちょっとだけ時間貰えない?」
普通だったらすぐ諦める俺だけど、京香のことに関してはしつこく食い下がる。
「用事って言うか、その……。渡したいものって、今じゃダメですか?」
「更衣室に行くのが面倒臭い」
「なんですかそれ……」
チケットを渡して「来てくれ」と言えば済むことなのは分かってる。
けど、自分の気持ちに気付いてしまった今、少しでも京香と一緒にいたいから、つい子供みたいなことを言って京香を呆れさせてしまった。
京香は少し困ったような表情を浮かべて、申し訳なさそうに話す。
「先輩、なんか毎週のように私と飲みに行っていることが、この会社で噂になっているみたいですよ?私は全然気にならないんですけど、先輩は私なんかと噂になるの嫌じゃないですか?」

